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ビジネスヒント·11分

人を1人雇う本当のコスト:日本でAI顧客対応が損益分岐する金額を円で試算

Omago 編集部·
日本の中小企業でパート1人の人件費とAIエージェント費用を比較し損益分岐を円で試算する図解

日本の最低賃金は、東京で時給1,226円(令和7年度)。けれど経営者が本当に払う金額は、これではありません。社会保険の事業主負担を載せると、東京で社会保険加入のパート1人を雇う実コストは時給で約1,410円まで上がります。本記事では、最低賃金・社会保険・採用と教育のコストを積み上げて「人1人の本当のコスト」を円で示し、AIエージェントの月額費用(USD表記)と並べて、どこで損益分岐するかを試算します。

結論を先に言います。AIに「営業時間は?」「予約できますか?」といった反復的な一次対応を任せた場合、東京の実コスト基準では月35時間ほどの対応時間を肩代わりできれば、月額5万円規模の自動化費用は元が取れる計算になります。ただしAIは反復問い合わせ向き。複雑な相談やおもてなしは人が担うべきで、そこは正直に書きます。


日本でパートを1人雇うと、社会保険込みで時給はいくらになる?

社会保険に加入するパート1人の実コストは、東京の最低賃金を基準にすると時給で約1,410円です。表示される時給よりも、おおむね15%ほど高くなると考えてください。

理由は事業主負担の社会保険料です。東京の最低賃金1,226円に、健康保険・厚生年金・子ども子育て支援金・雇用保険の事業主負担分を積み上げると、おおよそ時給1,410円の「下限」になります。この従業員が40〜64歳なら介護保険の事業主負担が加わり、時給は約1,420円まで上がります。これは公的料率からの試算値であり、政府が「中小企業の1時間あたり人件費」として公表している数字ではない点に注意してください。

しかもこの1,410円には、採用広告費・制服・研修・シフト調整・管理者の手間・休憩時間の非効率は一切含まれていません。つまり実際の人件費は、この試算より下がることはなく、たいてい上がります。最低賃金そのものも止まっていません。全国加重平均は令和6年度の1,055円から令和7年度の1,121円へ、1年で66円・6.3%上がりました。賃金の下限は据え置きではなく、毎年押し上げられているのが現実です。


パート1人分の月額人件費は、円でいくらかかる?

東京の実コスト約1,410円/時を基準にすると、月80時間で約11.3万円、120時間で約16.9万円、160時間で約22.6万円です。これが社会保険込みの「下限」の月額人件費です。

時給1,226円という最低賃金だけを見ていると、人件費を低く見積もってしまいます。事業主負担を載せた実コストで月額を出すと、次のようになります。

月間対応時間 実コスト基準の月額(東京) 想定する使い方
80時間 約112,800円 平日の一部だけ電話・チャット対応
120時間 約169,200円 一次対応をほぼカバー
160時間 約225,700円 フルタイム1人分に近い対応量

繰り返しますが、これらは採用広告・研修・シフト穴埋め・管理時間・離職時の補充コストを含まない保守的な下限です。一次対応の代替案は「無料の人の温かみ」ではなく、毎月の人件費プラス採用の手間だ、という点が試算の出発点になります。

夜間対応になると、さらに高くつきます。22時〜5時の深夜労働には少なくとも25%の深夜割増が必要で、東京の法定下限だけでも時給は約1,533円に上がります。月60時間を超える残業が深夜にかかると割増は合算で75%に達し、時給は約2,146円まで跳ね上がります。「24時間の人による対応」と「24時間のAI一次対応」は、経済的にまったく別物だということです。


そもそも、その1人を採用・維持できるのか?

人件費の話の前に、もっと厳しい現実があります。フロントラインの人材は、そもそも採れない・続かないという問題です。

帝国データバンクの2026年1月調査では、正社員が不足する企業が52.3%、非正社員が不足する企業が28.8%。業種別はさらに深刻で、飲食店の非正社員不足は58.6%、食品小売は50.0%、旅館・ホテルは44.0%医療・福祉・保健の正社員不足は57.4%に達します。一次対応を担う層が、構造的に薄い労働市場で奪い合いになっているわけです。

採ろうと決めても、市場がすぐには応えてくれません。厚生労働省の調査では、2025年上半期の宿泊・飲食サービス業の欠員率は4.8%で全産業最高。未充足求人は医療・福祉で24.69万人、宿泊・飲食サービス業で21.93万人にのぼります。

そして、せっかく採っても辞めていきます。2024年のパートタイム離職率は宿泊・飲食サービス業で29.9%、卸売・小売業で21.3%、医療・福祉で22.2%。小さな店・クリニック・宿は、賃金を払うだけでなく、採用・研修・監督・シフトの穴埋め・サービス品質の低下を繰り返し負担しているのです。「もう1人パートを」は、強そうに見えて壊れやすい解決策です。この採用と自動化のどちらを選ぶかは、採用 vs 自動化の判断軸で詳しく整理しています。


結局、人とAIエージェント、どちらが安い?

月額の自動化費用が、肩代わりできる人件費(時間)を下回れば、AIのほうが安いと言えます。東京の実コスト約1,410円/時を基準にすると、損益分岐ラインは意外なほど低くなります。

比較項目 パート1人(人) AIエージェント
一次対応の費用 実コスト約1,410円/時(社会保険込み・東京) 月額固定(下表のUSDプラン)
夜間・休日対応 深夜割増で約1,533〜2,146円/時 追加コストなしで24時間一次対応
採用・離職リスク 採用広告・研修・離職時の補充が発生 採用不要・離職なし
立ち上げ 求人〜採用〜研修で数週間 基本設定は約15〜20分
得意なこと 複雑な相談・苦情・おもてなし 反復的・定型・低リスクの一次対応
苦手なこと 24時間・夜間の安定運用 例外判断・感情対応・関係構築

損益分岐の試算は次の通りです。月額の自動化費用を、東京の実コストで割ると、何時間ぶんの対応を肩代わりすれば元が取れるかが出ます。

月額の自動化費用 損益分岐(肩代わりする対応時間)
月3万円相当 約21.3時間/月
月5万円相当 約35.5時間/月
月10万円相当 約70.9時間/月

一次対応は1件あたりが短いので、このハードルは思ったより低くなります。1件3分の問い合わせなら、月5万円相当の損益分岐は約709件/月。1件2分なら約1,064件/月です(この件数あたりの所要時間は公的統計ではなく、試算用の前提です)。

Omago のプランは USD のみで提供しています。Free(50通)/ Core 49ドル(月2,000通)/ Plus 99ドル(月8,000通)/ Max 369ドル(月25,000通)。円価格は提供していないため、ここでは「AI一次対応の月額(USD)」と「パート1人分の月額人件費(円・上の試算)」を別々に並べて比較してください。たとえば Core の49ドルは、上の試算で言えば月3万円相当の費用帯に近く、損益分岐は月20時間強の対応時間です。Omago は、WhatsApp・Telegram・Web チャットで中小企業の顧客対応を自動化する AI エージェントプラットフォームです。 なお、賃金環境は今後も上向きです。商工会議所の調査では正社員の賃上げ率が春の調査で4.03%、令和7年度の追跡調査で4.73%、従業員20人以下でも3.54%・4.02%。連合の2026春闘でも300人未満の組合で総額4.84%・賃上げ分3.60%です。最低賃金で採用しても、人件費は上がる方向に動いています。AIの月額は固定、人件費は上昇——この差も損益分岐に効いてきます。


AIに任せていい問い合わせと、人が対応すべき問い合わせは?

任せていいのは、反復的・定型的・低リスク・時間に追われる問い合わせです。人が対応すべきは、感情的・例外的・判断が重い・関係性が大事な問い合わせです。この線引きが、おもてなしを守りながら自動化する鍵になります。

まずAIに任せやすいのは、次のような一次対応です。

  1. 営業時間・定休日
  2. 場所・アクセス・駐車場・地図リンク
  3. 予約方法・必要な情報・受付時間枠・キャンセル規定
  4. 在庫や空き状況の確認(構造化データと連携できる場合)
  5. 価格帯・メニュー・支払い方法・配達エリアなどのFAQ
  6. 営業時間外の受付と、翌営業日への取り次ぎ

これらは人手不足が顕著な飲食・食品小売・宿泊・福祉関連でとくに負担が重い、定型的で差別化につながりにくい層です。

一方、人が対応すべき(少なくとも人が承認すべき)のは、苦情・返金トラブル・怒っている顧客への対応、ケースバイケースの例外判断、関係性の深い相談営業、個人情報や本人確認を含む依頼、医療・介護に関わる判断、VIPや常連との関係づくりです。ここを人に残すからこそ、おもてなしが守られます。

つまり「おもてなしを消すために自動化する」のではなく、「おもてなしを守るために自動化する」。逼迫した労働市場で、貴重な人手を「何時に開いてますか?」に使うのはもったいない。人は、謝罪・安心・説得・例外対応・評判管理のために残すべきです。なぜ一次対応の自動化が事業の生存に直結するのかは、人手不足倒産とAI一次対応で詳しく扱っています。

この自動化は、人手不足倒産という最悪のリスクへの備えにもなります。2025年の労働力不足倒産は342件(2024年)から427件へ24.9%増。しかもその77.0%が従業員10人未満の小規模事業者でした。顧客対応が経営者1人や受付1人に依存しているなら、AIの投資対効果の一部は「事業がもろくなるコストを避けること」そのものです。


よくある質問(FAQ)

受付スタッフ1人の人件費は、社会保険込みでいくら?

東京の最低賃金1,226円を基準にすると、健康保険・厚生年金・子ども子育て支援金・雇用保険の事業主負担を載せた実コストの下限は約1,410円/時です。月80時間で約11.3万円、120時間で約16.9万円が目安。採用広告・研修・離職時の補充は別途かかるため、実際はこれより高くなります。

AIエージェントとパート、どちらが安いですか?

肩代わりする対応時間しだいです。東京の実コスト基準では、月5万円相当の自動化費用は約35.5時間/月、月3万円相当なら約21.3時間/月の対応を肩代わりすれば損益分岐します。一次対応は1件が短いため、件数が多い店ほどAIが有利になりやすい計算です。

夜間の問い合わせ対応もAIで安くできますか?

一次対応であれば、はい。人による深夜対応は25%の深夜割増がつき、東京で時給約1,533円、60時間超の残業が重なると約2,146円に達します。AIエージェントなら追加コストなしで24時間の一次受付ができ、複雑な案件だけ翌営業日に人へ取り次げます。

Omago の料金はいくらですか?

USD表記で Free(50通)/ Core 49ドル / Plus 99ドル / Max 369ドルです。円価格は提供していません。年払いは2か月分お得になります。LINE料金との考え方の違いはLINE料金のロジックも参考にしてください。

AIに任せると、おもてなしが失われませんか?

任せ方しだいです。営業時間・場所・予約方法などの定型対応をAIに回し、苦情・例外・関係性の深い相談は人が担う線引きをすれば、むしろ人がおもてなしに使える時間が増えます。自動化はおもてなしを消すためではなく、守るために使うのが日本の中小企業に合っています。


出典:厚生労働省「令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧」「令和7年上半期雇用動向調査結果の概況」「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025)、帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」「人手不足倒産の動向調査(2025年)」(2026)、東京商工会議所・日本商工会議所「中小企業の賃金改定に関する調査」「2025年度の中小企業の賃上げに関する調査」(2025)、連合「2026春季生活闘争 第4回回答集計結果」(2026)

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