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業界インサイト·11分

2026年10月のLINE料金改定:中小企業のコストを再計算する

Omago 編集部·
2026年10月のLINE公式アカウント料金改定が中小企業のメッセージ配信コストに与える影響を示す試算表

2026年10月1日、LINE公式アカウントの追加メッセージ料金が改定されます。改定後は追加メッセージが1通あたり3円(月20万通までの分)、20万通を超える分は2.5円という体系になります。結論から言うと、影響が大きいのは「配信(プッシュ)中心」の使い方をしている中小企業です。逆に、お客様からの問い合わせに返信する「応答中心」の運用なら、改定の影響はほぼありません。この記事では、改定の中身を整理したうえで、低・中・高ボリューム別に改定前後のコストを試算し、10月1日までにやるべき具体策をまとめます。


2026年10月のLINE料金改定で、何がどう変わるのか?

変わるのは「追加メッセージ(無料通数を超えた分)の単価」です。LINEヤフーの発表によると、2026年10月1日から追加メッセージは月20万通までが1通3円、それを超える分が1通2.5円に変わります。月額プランの基本料金や無料通数そのものの改定については、本稿執筆時点(2026年6月)で確認できた発表はこの追加メッセージ単価の改定です。具体的な数字が確定していない項目は、推測で埋めずにこのまま運用判断してください。

ここで押さえておくべき前提が、現行のプラン構成です。現在の日本のLINE公式アカウントは、月額0円(200通)/5,000円(5,000通)/15,000円(30,000通)の3プラン構成で、いずれも税別表示です。コミュニケーションプランとライトプランには追加メッセージの仕組みがなく、無料通数を超えると配信できません。追加メッセージで上乗せ配信できるのは、スタンダードプランだけです。

つまり今回の改定は、主に「スタンダードプランで無料通数を超えて配信している事業者」のコストに直結します。月3万通の無料枠で収まっているなら、単価改定の影響は受けません。問題は、無料枠を超えて配信している事業者が、10月以降に1通いくら払うことになるか、という点です。


誰のコストが上がり、誰は影響を受けないのか?

影響を受けるのは「配信過多(ブロードキャスト中心)の中小企業」で、影響を受けないのは「応答中心の中小企業」です。この差を生むのが、LINEの「カウント対象」の考え方です。

LINEの公式ドキュメントでは、プッシュ・マルチキャスト・ブロードキャスト・ナローキャストはプランの通数にカウントされ、応答(リプライ)メッセージはカウントされないと明記されています。さらにLINE公式アカウントマネージャー側でも、LINEチャットの送受信・応答メッセージ・あいさつメッセージはカウント対象外とされています。通数のカウントは「メッセージの吹き出しの数」ではなく「送信先(受信者)の人数」で数えます。

この仕組みが、コスト構造を決定的に分けます。お客様が送ってきた質問に返信する形(プル型)の対応は、何件さばいてもLINE側の通数コストはゼロです。一方、全友だちに一斉配信する形(プッシュ型)は、受信者の人数ぶんカウントされます。同じ「予約リンクの案内」でも、問い合わせへの返信としてチャットで個別に送ればカウントされず、全友だちに一斉送信すればカウントされる——この違いが、改定の影響を受けるかどうかの分かれ目です。

なぜLINEが配信の主力チャネルになっているのか、その背景も押さえておきましょう。LINEの国内月間利用者数は2026年3月末時点で1億人、日本の人口の81.3%に相当します。さらに2026年3月末時点でビジネスアカウントは100万を突破しており、業種別では月間アクティブなLINE公式アカウントのうち美容・サロンが16%で最大、飲食も6%を占める(2025年4月時点)という構成です。これだけのリーチがあるからこそ「とりあえず全員に配信」が増え、結果として配信コストが膨らみやすい構造になっています。


改定前と改定後で、コストはどれだけ変わるのか?

ボリューム別に試算すると、無料枠内で収まる事業者は変化なし、無料枠を大きく超える配信過多の事業者ほど負担が増えます。以下は、現行の公式プラン料金とカウントルールに基づく筆者試算で、ベンダー見積もりではありません。税別表記です。

改定の対象は「追加メッセージの単価」なので、まず3つのプランの無料通数の範囲に注目してください。コミュニケーション(200通)・ライト(5,000通)・スタンダード(30,000通)。この枠内なら改定の影響はありません。

シナリオ 月間カウント対象通数 最低限必要なプラン 月額コスト(税別・改定後) 改定の影響
問い合わせ対応のみ(月500件、応答・チャットで処理) 0通 コミュニケーション 0円 なし(カウント対象の配信ゼロ)
友だち1,000人 × 月4回配信 4,000通 ライト 5,000円 なし(5,000通の無料枠内)
友だち5,000人 × 月4回配信 20,000通 スタンダード 15,000円 なし(30,000通の無料枠内)
友だち5,000人 × 月10回配信 50,000通 スタンダード 75,000円 追加2万通 × 3円 = 6万円が上乗せ
友だち2万人 × 月15回配信 30万通 スタンダード 約78万円 20万通までが3円、超過10万通が2.5円

最後の高ボリューム例の内訳は、基本料15,000円+無料枠を超える27万通のうち、20万通×3円=60万円、残り7万通(※20万通の超過分のうち)×2.5円という考え方になります。改定後の単価は20万通までが3円、それを超える分が2.5円なので、超大量配信の事業者ほど後半の2.5円が効いてきますが、それでも総額は大きく膨らみます。

ここで重要なのは絶対額の正確さよりも、傾向です。応答中心の運用はほぼ無料、配信過多の運用は通数に比例して跳ね上がる。改定は後者の単価を底上げするため、配信に依存している事業者ほど10月以降の支出が増えます。LINEの料金が「なぜプラン名ではなくカウントルールで決まるのか」をさらに深く知りたい方は、LINE料金のロジックを分解した解説記事もあわせてご覧ください。


10月1日までに、中小企業は何をすべきか?

やるべきことは「自社の配信が本当にカウント対象なのかを棚卸しし、応答で代替できる配信を減らす」ことです。改定までに準備できる現実的な手順を、優先順位順に整理します。

  1. 直近3か月のカウント対象通数を確認する。 LINE公式アカウントマネージャーで、無料枠を超えて追加メッセージが発生しているかを見ます。超えていなければ、改定の影響はありません。
  2. 配信の「目的」を仕分けする。 全員に送る必要がある販促配信と、特定の友だちにだけ届けばよい連絡(予約確認・変更案内など)を分けます。後者は応答メッセージやチャットで個別対応に切り替えれば、カウント対象外になります。
  3. ナローキャストで配信先を絞る。 全配信をやめられない場合も、属性や行動で対象を絞れば受信者数=通数が減り、コストが下がります。
  4. 問い合わせ対応を自動化し、配信頼みから脱却する。 「営業時間」「定休日」「予約方法」「予約変更」などの定型質問は、返信(カウント対象外)で完結します。プッシュで一斉に注意喚起する代わりに、聞かれたときに正確に答える運用へ移すと、配信通数そのものを減らせます。
  5. キーワード自動応答の精度を見直す。 ただし、LINEの標準キーワード応答は完全一致です。ここを誤ると「設定したのに反応しない」状態になります。落とし穴の詳細はLINE完全一致キーワードの落とし穴を解説した記事で確認してください。

補足として、顧客対応を本格的に運用するならチャットProオプション(月額3,000円・税別)でチャット履歴の保存期間が6か月から5年に延びます。これは月額プランとは別の追加費用ですが、配信費を増やさずに「応答中心」の運用を強化する選択肢です。


配信コスト上昇に対する「ヘッジ」としての1:1応答の自動化

最も効果的なヘッジは、お金のかかる「配信」を、お金のかからない「1:1応答」に置き換えることです。前述のとおり、応答・チャット・あいさつメッセージはカウント対象外です。ここを自動化すれば、配信単価が上がっても影響を受けないコスト構造を作れます。

考え方はシンプルです。これまで「念のため全員に配信」していた情報のうち、本当は「聞かれたら答えれば足りる」ものを切り分ける。営業時間、アクセス、駐車場、予約の流れ、よくある料金の質問——こうした事実ベースの問い合わせは、24時間自動で返信できれば配信に頼る必要がありません。配信通数が減れば、10月の単価改定の影響も小さくなります。

ここで現実的な選択肢になるのが、AIエージェントによる一次対応の自動化です。人手不足が深刻な日本では、問い合わせ対応の自動化は単なるコスト削減ではなく事業継続の問題でもあります。実際、人手不足を一因とする倒産が増えている現状とAIによる一次対応の関係は、多くの中小企業にとって他人事ではありません。

Omagoは、中小企業の顧客対応を自動化するAIエージェントプラットフォームです。現時点で稼働しているチャネルはWhatsApp・Telegram・Webウィジェットです。今すぐ着手できるのは自社サイトのWebチャットによる一次対応の自動化です。誇張せずに言えば、AIにできるのは「事実の自動応答」までで、クレームや返金、価格交渉、感情が強い場面は人が引き継ぐべきです。その線引きを保ったまま、定型の問い合わせだけを自動化することが、配信コスト上昇への現実的なヘッジになります。


よくある質問(FAQ)

2026年10月のLINE料金改定で、月額プランの料金は上がりますか?

本稿執筆時点(2026年6月)で確認できた改定は、追加メッセージの単価です。2026年10月1日から追加メッセージは20万通まで1通3円、超過分が2.5円になります。基本料金や無料通数そのものの改定について確定情報は確認できていません。最新情報はLINEヤフー公式の発表でご確認ください。

無料枠内で運用していれば、料金改定の影響はありませんか?

ありません。改定の対象は「無料通数を超えた追加メッセージの単価」です。コミュニケーション200通/ライト5,000通/スタンダード30,000通の無料枠内に収まっていれば、追加メッセージは発生しないため改定の影響を受けません。

問い合わせ対応の返信もカウントされて課金されますか?

されません。応答(リプライ)メッセージ、LINEチャットの送受信、あいさつメッセージはカウント対象外です。カウントされるのはプッシュ・ブロードキャスト・ナローキャスト・マルチキャストといった「こちらから送る配信」で、受信者の人数で数えます。

配信コストを下げる一番効果的な方法は何ですか?

配信先を絞ること(ナローキャスト)と、配信で送っていた情報を応答での個別対応に置き換えることです。応答はカウント対象外なので、定型の問い合わせを自動応答で処理すれば配信通数そのものを減らせます。LINEのリーチは大きく、国内月間利用者数は1億人・人口の81.3%に達するため、全員配信に頼らず必要な相手に届ける運用が費用対効果を高めます。

LINE以外のチャネルも併用すべきですか?

ドメスティックなB2Cでは、リーチの大きいLINEが当面の主力チャネルです。一方、訪日客や海外顧客の比率が高い事業者は、WhatsApp・Telegram・Webチャットを補完的に併用する価値があります。いずれのチャネルでも、まず1:1応答の自動化から着手すると、配信費を増やさずに対応品質を底上げできます。


出典:LINEヤフー for Business(2026年)、LINE Developers(2026年)、LY Corporation IR資料(2026年)

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