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業界インサイト·10分

賃貸仲介の反響対応:最初に返した店が内見を取る

Omago 編集部·
夜間に届いた賃貸ポータルの反響メールと、翌朝まで対応されず競合店へ流れる入居希望者を表すイメージ

1月最終週の金曜、21時。店を閉めたあとに、ポータルサイトから3件のメール反響が届く。担当者が気づくのは翌朝——しかしその頃には、入居希望者は先に返信をくれた別の店と内見の約束を済ませています。賃貸仲介の反響対応は、物件力の勝負である前に速度の勝負です。LIFULL HOME'S会員調査(2019年実施、n=294)では、メール反響への初回返信で最多の回答は「3時間以内」でしたが、来店率・成約率がともに平均を上回ったのは**「5分以内(システムによる返信を含む)」**の会員でした。この記事では、反響から来店までのファネルの業界平均、返信速度と追客のデータ、繁忙期と属人化の構造、そして自動応対とおとり広告規制の線引きまでを整理します。


賃貸の反響は、どのくらい来店につながるのか?

繁忙期の全国業界平均で、メール反響の来店率は20〜30%、電話反響は60〜70%、総反響来店率は**40〜50%**です(船井総合研究所)。メールで届いた反響の7〜8割は、来店に至らないまま消えている計算になります。

段階 数値 出典
メール反響→来店 20〜30%(繁忙期・業界平均) 船井総合研究所
電話反響→来店 60〜70% 船井総合研究所
総反響→来店 40〜50%(支援先の目標平均は60%) 船井総合研究所
初回対応を営業担当個人が実施 94.4% ミカタ社調査(売買中心・参考値)
初回返信「5分以内」 来店率・成約率とも平均超 LIFULL HOME'S会員調査(n=294)

反響→来店→申込→成約を段階別に示す全国の公的統計は乏しく、上記は民間コンサルティング会社の支援実績に基づく数値です。また、不動産会社のミカタが紹介するミカタ社調査(売買中心のため賃貸には参考値)では、反響への通電率が「10%以下」にとどまる会社が**34%**で最多でした。電話はつながらず、メールの返信は遅い——ファネルの入口で大半が漏れているのが実態です。


何分以内に返信すると、内見につながるのか?

日本の一次データが示す目安は「5分以内」です。LIFULL HOME'S会員調査では、初回返信が「5分以内(システムによる返信を含む)」の会員が、来店率・成約率の両方で平均を上回りました。CRMの自動返信機能を使う会員が、この速度を実現しています。

速度だけでなく回数も差を生みます。同調査では、追客回数は**「4回」「5回以上」、頻度は「2〜3日おき」**の会員が来店率・成約率とも高い結果でした。1通送って返事がなければ終わり、では早すぎるということです。

背景にあるのはファーストレスポンダー優位です。入居希望者は複数の会社に同時に問い合わせるのが一般的で、検討意欲がもっとも高いのは問い合わせ直後。最初に返した会社が「熱心で信頼できる」という印象を取り、内見予約への移行でも優位に立ちます。返信速度が成果を左右する構造は賃貸に限らないため、返信速度の経済学の記事もあわせてご覧ください。


なぜ反響対応は遅れるのか?

初回対応が「物件の営業担当」個人に委ねられているからです。ミカタ社調査では、初回対応を物件の営業担当が行っている会社は94.4%(売買中心の調査)。担当者が案内中でも、休みでも、その反響は担当者が動くまで止まります。仕組みではなく個人に依存する属人体制が、遅れの構造的な原因です。

そこに季節性が重なります。賃貸の最大の繁忙期は進学・就職・異動の引越需要が集中する1〜3月で、9〜10月が第二の繁忙期です(CHINTAI JOURNAL)。優良物件は1〜2月に決まり、この時期は退去に伴う原状回復やクリーニングの手配も重なって人手が逼迫します。反響が最も増える時期に、対応力が最も細るわけです。

さらに時間帯の問題があります。ポータルサイトのアクセスは平日20〜23時と土日午前にピークが来るとされます(業界コメンタリー)。つまり反響の少なくない部分は営業時間外や接客ピークに届き、翌営業日回しになった反響は、その夜のうちに返信した競合に流れます。人を増やして解決できる会社は多くありません。採用難の背景は人手不足と倒産の記事で詳しく扱っています。


放置した反響は、いくらの広告費を捨てているのか?

反響は1件ごとに広告費を払って獲得したものであり、放置はその広告費を捨てるのと同じです。名前付きの出典で確認できる円データとして、LIFULL HOME'Sの料金体系は基本会費が1店舗あたり月15,000円、賃貸の反響課金は募集家賃の9.5%(2019年改定、全国賃貸住宅新聞)。家賃8万円の物件なら、反響1件で7,600円を支払う計算です。業界メディアでは賃貸の反響単価は1件4,000〜5,000円前後という相場観も語られます(統計ではなく相場観です)。

SUUMOやat homeの円単位の掲載料は公式には公開されていないため、正確な逸失額は「自社が支払っている反響単価×取りこぼした件数」で各社が計算するのが誠実です。月20件の反響のうち夜間・休日分の数件を落としているなら、その分の反響課金は成果ゼロのまま消えています。広告費を増やす前に、いま届いている反響の取りこぼしを塞ぐほうが先です。


反響への自動返信は、おとり広告にならないのか?

設計次第です。在庫や取引の可能性を断定しない限り、自動の一次応答そのものは規制に抵触しません。押さえるべき規制は次のとおりです。おとり広告は宅地建物取引業法第32条(誇大広告等の禁止)と、不動産の表示に関する公正競争規約第21条で禁止されており、禁止類型は①架空物件、②実在するが成約済み等で取引できない物件、③取引する意思のない物件、の3つです(首都圏不動産公正取引協議会)。上位には景品表示法第5条第3号に基づく告示があり、違反は消費者庁による措置命令の対象になります。

自動応対への含意は3点です。第一に、空室確認が済んでいない物件について「まだ空いています」「ご契約可能です」と断定しないこと。成約済みの物件を募集中として示せば、それ自体がおとり広告に当たり得ます。第二に、取引態様(媒介・代理・貸主)の明示義務。第三に、重要事項説明は宅地建物取引士にしかできないため(宅建業法第35条)、契約条件の確定的な説明は必ず人に引き継ぐことです。

つまり安全な設計は、「お問い合わせを受領し、希望条件と内見候補日を伺い、空室確認のうえ担当者からご連絡します」という型に尽きます。Omago(オマゴ)は、顧客からの問い合わせに、顧客の言語で24時間自動で応対し、必要なときは人に引き継ぐAIエージェントです。深夜の反響にも数分で一次応答して内見希望を受け付け、空室の断定や契約説明には踏み込まず担当者へ引き継ぐ——上記の型を、人を増やさずそのまま運用できます。


よくある質問

反響への返信は、営業時間外でも送るべきですか?

送るべきです。ポータルのアクセスは平日20〜23時と土日午前がピークとされ、反響の多くは店が閉まっている時間帯に生まれます。LIFULL HOME'S会員調査では、システムによる返信を含む「5分以内」が来店率・成約率とも平均を上回っており、深夜は自動の一次応答で受け付け、翌朝人が引き継ぐ形で十分に機能します。

追客は何回まで続けてよいのでしょうか?

LIFULL HOME'S会員調査では「4回」「5回以上」の追客、「2〜3日おき」の頻度が来店率・成約率とも高い結果でした。1〜2回で止めるのは早すぎます。ただし同じ文面の連打ではなく、条件に合う新着物件や内見枠の案内など、相手にとって意味のある接点を重ねることが前提です。

AIの自動応対に重要事項説明まで任せられますか?

任せられません。重要事項説明は宅地建物取引士の独占業務です(宅建業法第35条)。自動応対に任せてよいのは受付・一般的な物件情報の案内・内見日程の調整までで、契約条件の確定的な説明と空室の断定は、人の仕事として残す設計が必須です。

繁忙期だけ人を増やせば解決しますか?

1〜3月だけ経験者を採用するのは現実的に難しく、仮に採れても夜間・休日の反響は残ります。属人化の解消は「人を足す」より「初回対応を仕組みに移す」ほうが再現性があります。費用の考え方はAI顧客対応の費用対効果の記事を参考にしてください。


出典:LIFULL HOME'S会員調査(LIFULL HOME'S Business、2019年実施)、船井総合研究所、不動産会社のミカタ(ミカタ社調査)、CHINTAI JOURNAL、全国賃貸住宅新聞(2019年)、首都圏不動産公正取引協議会、消費者庁 景品表示法関連資料

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